お店のはじまり

体や心が不安定な時、私の気持ちを救ってくれたのは、誰かの手から渡してもらったホカホカの食べものでした。

母のできたてご飯。おばあちゃんのでっかい味噌おにぎりやちょい焦げパンケーキ。好きだと言ったらずっと出てきた山盛りの甘いカレー。地元駅前のお総菜屋さんのしょっぱいフライドポテトと世間話。産後の体に染みた大楽先生の和定食。何気なく食べていたあの味や香りを強く思い出した時がありました。

あの3月。当たり前にあったものの大切さを突き付けられた日。作ってくれた人の顔とともに思い出した食べ物の温かさが心の灯となり、前に進む勇気を与えてくれました。

福島で暮らすことを選んだ私が、我が子にできることは何だろう。

この子達が巣立つ時まで、たくさん笑わせてあげよう。あったかいごはんで身体を作ろう。家族を大事に縁のある人のために働こう。人や自然から与えられたあたたかさを今度は私が伝えていく番だと思いました。

私が唯一できたのは子ども達のおやつ作り。手に入る新鮮な材料でシンプルに。よく噛めて、腹持ちがよいもの。まだ会ったことのない誰かが、このおやつで元気になれますように。立場や世代の違う人が仲良くなれますように。愛がめぐっていきますように。そんなことを願いながらおやつ屋meguruが始まりました。